青菜を茹でるときに塩を加えることは本当に必要なのか?
ほうれん草や小松菜、ブロッコリーなど緑色の野菜を茹でるときは、塩を加えて茹でると色よく仕上がるとよく言われます。
しかし、本当にそうでしょうか?塩を加えて茹でなくてもちゃんと緑色は残っているし、いまいち塩を入れて茹でる効果がピンと来ないんですよねえ。
もしも塩を入れて茹でてもそんなに状態が変わらないのなら、ちょっとした手間の短縮と調味料の節約にもなるので、入れないほうが良いということになるわけです。
そこで、青菜を茹でるときに塩を入れた場合と入れない場合で違いが出るのかを確認したいと思います。
塩を加えて茹でると色が良くなるのか?
青菜を塩で茹でたときの効果については、2003年に日本食生活学会誌の実験(1)で検証されています。
ここでは、ほうれん草を用いて、茹で湯の塩分濃度を0.0~4.0%に変えてそれぞれ茹で上がったほうれん草の色を比べています。
4%の塩分濃度がどれぐらいかというと、海水の塩分濃度がだいたい3.4%ぐらいなので、かなりしょっぱい茹で湯でありますな。
で、その結果、茹で湯の塩分濃度の違いによって青菜の色がどう変わったかというと、
- 塩分濃度2%以上で変色が抑えられる
- 2%以下だと見た目にはほとんど違いはない
ということが分かりました。
つまり、1Lの茹で湯を準備するとしたら20g(大さじ1と1/3杯)以上の塩を入れなきゃ青菜の色を良くすることに対してほとんど意味がないというわけですな。
2%の塩分濃度を感覚でいうと、冷たい蕎麦のつけ汁ぐらいです。なので、結構しょっぱい茹で湯になりますね。
多くの料理本だと茹で湯にひとつまみぐらいの塩を入れるのもが多いですが、それぐらいじゃ全然意味が無くて、もっとたくさんの塩を入れなきゃ入れても入れなくても大差がないというわけです。
植物の細胞内にはもともとクロロフィルと呼ばれる色素体があるのですが、これが青菜のきれいな緑色の正体です。加熱したあと青菜の色が悪くなるのは、このクロロフィルが熱により変成して、黄色や茶色に変わってしまうために色がくすんで見えるのです。
そしてこのクロロフィルは普段、たんぱく質と結合しているので、塩が十分にあるとたんぱく質の変性も進みやすくなるので、その時に変性したたんぱく質がクロロフィルを包み込み、クロロフィルが熱で変成してしまうことからも保護してくれるんじゃないの?ってことが言われているのですね。
ハンバーグを作るときに塩を加えると粘りが出て、肉汁を包み込んでくれるのと同じような感じでしょうかね。
ただし、植物中に含まれるたんぱく質の量はそこまで多くないので、十分な塩分濃度にしないとその効果は薄いようです。なので、2%以上のかなりしょっぱい湯で茹でないと意味はないというわけです。
2%の塩分濃度を感覚でいうと、冷たい蕎麦のつけ汁ぐらいです。なので、結構しょっぱい茹で湯になりますね。
多くの料理本だと茹で湯にひとつまみぐらいの塩を入れるのもが多いですが、それぐらいじゃ全然意味が無くて、もっとたくさんの塩を入れなきゃ入れても入れなくても大差がないというわけです。
塩で青菜の色が良くなる理由
なぜ塩分濃度の高い湯で青菜をボイルすると色が良くなるのかというと、十分な塩があると植物の中に含まれるたんぱく質が青菜のきれいな緑色を保護してくれるからと言われてります。
植物の細胞内にはもともとクロロフィルと呼ばれる色素体があるのですが、これが青菜のきれいな緑色の正体です。加熱したあと青菜の色が悪くなるのは、このクロロフィルが熱により変成して、黄色や茶色に変わってしまうために色がくすんで見えるのです。
そしてこのクロロフィルは普段、たんぱく質と結合しているので、塩が十分にあるとたんぱく質の変性も進みやすくなるので、その時に変性したたんぱく質がクロロフィルを包み込み、クロロフィルが熱で変成してしまうことからも保護してくれるんじゃないの?ってことが言われているのですね。
ハンバーグを作るときに塩を加えると粘りが出て、肉汁を包み込んでくれるのと同じような感じでしょうかね。
ただし、植物中に含まれるたんぱく質の量はそこまで多くないので、十分な塩分濃度にしないとその効果は薄いようです。なので、2%以上のかなりしょっぱい湯で茹でないと意味はないというわけです。
塩を加えた湯でボイルすると青菜の味は変わるのか?
青菜を茹でるときには2%以上の塩分濃度にしないと、色の変化は全くないことが分かりましたが、だったら大量に塩を入れて茹でればいいだけの話じゃないかと言うと思います。
しかし、大量に塩を入れてしまうと青菜の味にも影響してしまいます。
ほうれん草の色を比べたのと同じ実験ですが、今度は茹で湯の食塩濃度の違いにより、
- ほうれん草中のシュウ酸の量
- 柔らかさ
- 味
- 香り
などがどう変わるのかを調べました。
シュウ酸っていうのはエグ味の代表格で、タケノコとかのアクの成分としても知られております。まあこれが茹で湯に溶け出して、ほうれん草の中には少ないほうが美味しいわけです。
その結果、
- 塩分濃度が高いほど、シュウ酸が茹で湯に溶出しずらかった
- 同時に塩味と甘味が増した
- 塩分濃度が低すぎると、シュウ酸は溶出するが、塩味と甘味が弱いために、アクっぽさを感じた
- 塩分濃度が0.25~0.5%のとき、ほうれん草の塩味と甘味のバランスも良く、アクっぽさも緩和された
- 塩分濃度が2%を超えると、柔らかくなりすぎて好まれなかった
ということが分かりました。
茹で湯に塩を入れると甘味が増すのは、味の対比効果によるものだとされています。
スイカに塩を加えると甘みが増すと言われているのと同じ効果ですね。
しかし入れすぎると今度は、茹で湯の濃度が高まり過ぎてアクの成分が茹で湯に溶けずらくなり、青菜の中に多く残ってしまうようです。さらに食感も柔らかくなりすぎちゃっておいしくないみたいですね。柔らかくなるのは、野菜炒めを作るときなんかに塩を先に入れると水分が出てくたっとなるのと同じです。
ですから、色を良くしようと茹で湯に対して2%以上の塩を入れると今度は、エグ味を感じるわ、食感は悪くなるわでおいしさには何のメリットもないようですねえ。
しかし、ほうれん草のようにエグ味の多い野菜ではなく、ブロッコリーや小松菜などのエグ味の少ない青菜をボイルする場合で、さらに柔らかくなりすぎてもいいよっ、って場合だと塩をたくさん入れてボイルするのもありかもしれませんね。
の野菜によって塩の量を使い分けるのは面倒だ!って方は無難に、実験の結果通り0.25~0.5%が一番おいしくなるようなので、その塩分濃度でボイルするのが一番かもしれません。
どうぞよしなに。
しかし、ほうれん草のようにエグ味の多い野菜ではなく、ブロッコリーや小松菜などのエグ味の少ない青菜をボイルする場合で、さらに柔らかくなりすぎてもいいよっ、って場合だと塩をたくさん入れてボイルするのもありかもしれませんね。
の野菜によって塩の量を使い分けるのは面倒だ!って方は無難に、実験の結果通り0.25~0.5%が一番おいしくなるようなので、その塩分濃度でボイルするのが一番かもしれません。
どうぞよしなに。
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