どの方法で鶏ガラを下処理すると最もスープが美味しくなるのか?
鶏ガラから買ってスープを作ろうとするとき、いつも何となくで下処理をしてしまってはいませんか?
下処理の方法としては、熱湯をかけて霜降りにしたり、下茹でしたり、時にはただ洗うだけなどといった方法がありますが、その方法はレシピによって違うんですよね。
アクや生臭さを取りつつ、うま味を残すのが最高の下処理方法だと思うんですが、どの方法がどれぐらい生臭さが取れてうま味が残り美味しいのかっていうのはあまり考えずに、一番最初にネットで検索して出てきたレシピの通りに作ってるんじゃないかなーと思います。
そこで、下処理の方法によって美味しさと成分の違いにどう変化があるのか、ということをまとめたのでご参考にしてくださいませ。
スープとして美味しいのはどれ?
1994年に鶏ガラの下処理方法によってどんな違いがあるのかを調べてくれた研究(1)があります。
下処理方法は、
- 水洗い
- 熱湯で霜降り
- 30分間水に浸ける
- 1分間下茹で
の4パターンを試しました。一般的なレシピもだいたいこんなところが主流ですね。
これらの下処理をしたのち、鶏ガラの5倍量の水に生姜、ねぎ頭を加え1時間かけてスープを作りました。
結果何が分かったかというと、
- うま味の強さは、水洗い>霜降り=下茹で>水に浸ける
- 生臭さの強さは、水洗い>霜降り>水に浸ける>下茹で
- 全体的な美味しさは、下茹で>水に浸ける>霜降り>水洗い
という順番に。全体的なおいしさでは下茹でが一番。次いで水に浸ける方法が良いらしいですね。
スープを取る前にアクを十分に取り除く
結果を見てみると、水洗いしただけのものはうま味は一番残っていますが、やはりアクが残ってしまっていて評価が良くありませんね。
ちなみに、スープを作っているときに浮いてきたアクはその都度すべてお玉ですくい取っているので、アクを常にすくい取っていれば良いという問題ではないようです。いくらうま味が残せるからと言って、下処理は必須のようです。
しかし水洗いと少し似ている方法ですが、水に30分浸ける方法はそれだけで臭みが結構抜けるようです。
そして、茹で時間が長くなるとでうま味が減るかと思いきや、霜降りと下茹でにそこまでうま味の差がないのが意外ですね。対して生臭さについては、霜降りと下茹での間で差があるようです。
どうやら最初の1分ぐらいは、うま味ではなく生臭さの成分のほうが湯に溶け出すようですな。
また霜降りと水に浸けたものを比べたとき、うま味の強さは霜降りのほうが多いのに対して、生臭さは水に浸けたものの方が少ないです。
そして、水に浸けたものの方が全体的な評価が高いことから、うま味の強さよりもアクを取って生臭さをいかに取り除けるかが鶏ガラスープの美味しさに影響するようですね。
鶏ガラ程度であれば実感はあまり沸かないでしょうけど、豚骨でヘタなラーメン屋の前を通ると匂いでウっとくるのは分かりますから、この結果も納得のものでしょうな。
下処理方法によってどれぐらい生臭さに差があるのか?
具体的に生臭さの成分を挙げてみると、
- デカジエナール:古い揚げ物油のようなにおい
- ヘキサン酸:ヤギの体臭のようなにおい
- ヘプタン酸:腐った油や腐敗物の匂い
といったものが原因のようで、たしかにこういったものが十分に含まれていたとしたら散々な一品になるのも当然ですわな。
この中でも最も人が感じやすい不快臭の成分はデカジエナールなのですが、それが下処理の方法別にどれぐらい残っていたかというと、
- 水洗い:68ppb
- 霜降り:43ppb
- 水に浸ける:13ppb
- 下茹で:13ppb
といった具合。個人差はありますが、デカジエナールは数十ppbから感じ取ることができるので水洗いや霜降り程度では全然生臭みが取れていないことが分かりますね。
水に浸けたものや下茹でしたものと比べて、水洗いは約5.2倍、霜降りは約3.3倍も多く含まれております。
また、他の不快臭の成分を比べたとき下茹でよりも水に浸けたものの方が量が比較的少なかったんですよね。
試食段階での評価は、水に浸けたものの方が生臭さを感じるという結果だったのに、成分分析では逆の結果になったのはちょっと謎。
水に浸けたものの方がうま味が少ないので、うま味によって臭みがマスキングされるのか、それとも他の要因があるのかは不明ですが、水に浸けるという選択肢も下茹でと同じぐらい試してみる価値はありそうですな。
水に浸けたものや下茹でしたものと比べて、水洗いは約5.2倍、霜降りは約3.3倍も多く含まれております。
また、他の不快臭の成分を比べたとき下茹でよりも水に浸けたものの方が量が比較的少なかったんですよね。
試食段階での評価は、水に浸けたものの方が生臭さを感じるという結果だったのに、成分分析では逆の結果になったのはちょっと謎。
水に浸けたものの方がうま味が少ないので、うま味によって臭みがマスキングされるのか、それとも他の要因があるのかは不明ですが、水に浸けるという選択肢も下茹でと同じぐらい試してみる価値はありそうですな。
まとめ
- 鶏ガラの下処理で重要なのは、うま味を残すことよりもアクをできる限り取り除くこと
- 全体的なおいしさは、下茹で1分が最も評価が高く、次いで30分水に浸ける方法
- 下茹でと比べて多少うま味は減るが、もしかしたら水に浸ける方法のほうが下茹でするよりもアクを取り除く効果が高いかも、どちらにするのかは好みの問題ですかね
是非お試しあれ。
どうぞよしなに。
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