新型コロナウイルスに対抗するために必要な栄養素10選
残念ながら現時点では、新型コロナウイルスに対抗するための具体的な治療法は確立されていないのが現状であります。一般人ができることと言ったら、自粛をしたり外出時にマスクをして人との接触をできるだけなくすなどの対策で止まってしまっていますね。
それ以外の対策としては「個々人の免疫力を高めて感染しないようにするしかないよね」という風になると思うのですが、具体的にどんな栄養をとったらコロナに効くのかって、データも少ないのでいまいち分からないですよね。
そこで、「今の時点でコロナ対策に必要な栄養素は何なの?」ということについて調査してくれている系統的レビュー(1)が発表されていましたので、毎日の食事の参考にしていただけたら幸いです。
コロナウイルスに効果がありそうな栄養素10選
これは中国医科大学が、現時点で検索できるコロナウイルス感染と一部のRNAウイルス感染に関連したすべての治療オプションを整理して、
- 一般的な治療
- コロナウイルス固有の治療
- 抗ウイルス治療
についてどんな対策ができるのかをまとめた論文になっております。
過去に発生したSARSやMERSなどのコロナウイルス感染の事例をもとに、とりあえず現時点で効果がありそうな対策をまとめてくれたものですね。
医療従事者や研究者向けの内容が多いのですが、中でも栄養素に関しての内容は一般人でも参考にできそうなので、そこだけ取り上げます。
1.ビタミンA
麻疹ウイルス(はしか)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、鳥コロナウイルスなどに対抗できるとされるビタミン。
抗感染ビタミンとも呼ばれており、レバー・うなぎ・人参・バターなどに多く含まれております。脂溶性ビタミンなので、油と一緒に摂取すると吸収率が高まります。
また、コロナウイルスの一種である伝染性気管支炎ウイルス(IBV)は、ビタミンAが不十分な食餌を与えられたニワトリでは、ビタミンAが十分な食餌を与えられたニワトリよりも顕著だった(2)という報告もあります。
2.ビタミンB群
ビタミンB1、B2、B3(ナイアシン)、B5(パントテン酸)、B6、B7(ビオチン)、B12、葉酸の8種類のビタミンBの総称です。
主に、
- ビタミンB1:豚肉、玄米、ハムなど
- ビタミンB2:納豆、レバー、乳製品など
- ビタミンB3(ナイアシン):肉類や魚介類
- ビタミンB5(パントテン酸):レバー、魚介類、納豆など
- ビタミンB6:魚介類、レバー、バナナなど
- ビタミンB7(ビオチン):レバー、卵黄、魚介類など
- ビタミンB12:二枚貝、牛レバー、乳製品など
- 葉酸:枝豆、ブロッコリー、レバーなど
に含まれております。
肉(特にレバー)や魚、乳製品をとって置けばだいたいまかなえますね。
コロナ対策になるだろうと言われる根拠としては、
- ビタミンB2を摂りつつ太陽光を浴びると、MERS-CoVの活性を弱らせたり(3)
- ビタミンB3は、白血球が肺へ浸潤するのを抑制し、人工呼吸器誘発性肺損傷中に強力な抗炎症効果があった(ただし低酸素血症になる可能性も高まる)(4)
といったところですね。いずれにせよ、ビタミンB群は免疫力強化には必須の栄養素なので不可欠なのは間違いないでしょうな。
3.ビタミンC
レモン、キャベツ、みかんなどに多く含まれているビタミンですね。
コラーゲンの合成や抗酸化剤、風邪の症状改善などの効果がよく知られていますが、コロナウイルスにももしかしたら効果があるかも?と言われております。
例えば、
などといったことが報告されています。
4.ビタミンD
日光の助けを借りて体内で合成されるホルモンです。しいたけ、魚、卵などに多く含まれております。ビタミンAと同じく脂溶性ビタミンなので、油と一緒に摂取することをおすすめします。
日本人の約8割が不足、もしくは約4割が欠乏していると言われております。なのでインドア派な人とか、自粛中の現在みたいな状況のときは特に気を付けたい栄養素のひとつですな。
根拠としては、
- ビタミンDは不足している子牛はコロナウイルスにかかりやすかった(8)
らしいです。
また、今回の10選には含まれていませんが、ビタミンDを積極的に摂取するときはセットでマグネシウムも摂るようにしたいです。
というのも、ビタミンDは体内のカルシウムとリンのレベルを上げて骨を強くしてくれるのですが、そのときにマグネシウムが不足しているとせっかく増えたカルシウムがうまく代謝されずに逆にカルシウムが血管をガチガチにしてしまうのです。
厚生労働省が定めている一日のマグネシウム摂取量は370mgなのですが、こちらも日本人のほとんどがこのレベルまで届いていないんですよね。
なのでビタミンDと一緒に、ナッツ・魚介類・海藻などマグネシウムの多く含まれているものも一緒に摂取することを心掛けてみてください。
5.ビタミンE
抗酸化能力が高いビタミンとしてよく知られていますが、食黄色野菜、ナッツ、魚介類などに多く含まれております。
ビタミンEの不足で、
6.オメガ3脂肪酸
ナッツ(特にクルミ)や魚の油に多く含まれている脂肪酸ですね。
特に実験ではプロテクチンD1というDHA由来の脂肪酸が使われておりましたので、青魚などを積極的に食べればよろしいかと。
ダイエットや認知機能の改善にも効果があると言われておりますが、マウスがインフルエンザに感染したときの死亡率を完全に食い止めることができたんだそうな。
抗C型肝炎ウイルスに活性があったのでコロナウイルスにも効果がある可能性があるとのこと。
7.セレン
こちらも抗酸化作用をもつミネラルですが、ビタミンEと一緒に摂取すると感染予防作用がアップします(10)。
魚介類、卵、ねぎなどに多く含まれております。
セレンの足りない食事を与えられたマウスは、インフルエンザや重度の呼吸障害を引き起こす可能性が高いとのこと。
8. 亜鉛
牡蠣や肉類、卵、ごま、海藻、ブロッコリー、レバーなどに多く含まれております。
不足すると味覚障害を起こすというのが有名ですね。
コロナに関しては、
といったことが分かっているようです。
9.鉄
鉄は大きく「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」に分類されます。ヘム鉄は主に赤身の肉や魚、非ヘム鉄は野菜、海藻、大豆などに多く含まれます。非ヘム鉄の場合は、ビタミンCと一緒に摂取すると吸収率が高いです。
鉄分の不足は、
- 呼吸器感染症を引き起こしやすくなる(14)
- ウイルスと戦うための酵素が作られなくなって免疫力が低下する
しかし、鉄分は人体にもウイルスのどちらにも必要なミネラルなので、鉄分が多すぎると逆にウイルスが体内に侵入しやすくなるので注意が必要(15)。
10.α‐リポ酸
ほうれん草、トマト、ブロッコリー、レバーなどに多く含まれています。
酸化ストレスが上昇するとヒトコロナウイルスの感染力が高まり、α-リポ酸は酸化ストレスから人を保護しコロナウイルスに対する感受性が弱まる可能性があるとのこと(16)。
またα‐リポ酸によって、RNAウイルス感染症のひとつであるヒト免疫不全ウイルス(HIV)の増殖も阻害できるとのこと(17)。
まとめ
以上が今回の系統的レビューであげられていた主なコロナ対策にかかわる栄養素でした。
もちろん、どこまでこれらの栄養素が新型のコロナウイルスに当てはまるのかは明らかになってはいませんが、かなり基本的な栄養素ばかりではあり、免疫力向上にはかかせない栄養素であることは間違いないので、ご参考にしてくださいませ。
どうぞよしなに。
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