野菜を洗うのが面倒?農薬って洗ってどこまで落ちるのか、問題


野菜を買ってきたら、まず洗ってから食べるという人が大半だと思います。

どれだけ農薬がついていて、そしてそれがどれだけ人の体に害があるのかっていうのが心配で洗いますよね。

けど、たまには洗うという行為さえも面倒くさく感じてしまう人も中にはいるんじゃないですか?

野菜に残っている農薬はどうするのが良いのか?
そもそも野菜って洗わなくちゃダメ?
みたいなことを書きたいと思います。

農薬を落とす一番良い方法は?

2011年にパキスタンの農業大学が農薬についてまとめてくれたメタ分析では、いろいろな方法で野菜を処理したあとの野菜の残留農薬の割合を調べてくれています(1)。

具体的には、
  • 水で洗う:ほとんど除去されない
  • ぬるま湯で洗う:82%除去
  • 皮を剥く:果物はほぼ100%、じゃがいもは35~50%除去
  • 缶詰にする:50~98%除去
  • 焼く:49~53%
  • 凍らせる:5~31%除去
  • 酸性の液につける:5%溶液で100%除去
  • 食塩水に浸ける:2~10%溶液で20~90%除去
  • 洗剤で洗う:50~60%除去
といった感じ。

効果のある順に並べると、

酸>ぬるま湯>食塩水>缶詰>皮を剥く>洗剤>焼く>冷凍>水

といったところでしょうか。

一番効果のある方法は酸に浸けるものだったそうで、酢とかをちょろっと入れた水に浸けておけば、ほぼ農薬は分解されるんだそう。

あと意外にもぬるま湯や食塩水が効果あるのは驚きですな。洗剤で洗うよりも効果があるらしいんですから。

ちなみに皮を剥いたじゃがいもに農薬が残っているのは、中まで農薬が浸透しているかららしいです。

ただ、野菜の種類によっても残留農薬が落ちる割合は変わってくる(2)という研究もあるので、一概に農薬を落とすにはこの方法が良い!と断言するのも難しいところ。

なんせ日本で使われている農薬の種類を見てみても、747品目もあるわけですからな。
野菜ごとに使われている農薬の種類も違うので、農薬の落ちやすさにも幅があるわけです。

パキスタンの研究では水で洗うことはほとんど効果がないとなっていましたが、
ほうれん草やキャベツなどの葉物野菜では水で洗っても農薬は落ちることが分かっているので、水でも洗わないよりは洗ったほうが良さげな感じ。

農薬だけじゃなくて、土などの汚れがついていることも多いですからねえ。

あまり神経質にならなくても良い

とは言え、そこまで野菜に付いている農薬を気にする必要はないのかもしれません。

超長期的な健康を考えたときに絶対の安心が確証されているわけではありませんが、残っていても問題ないとされる農薬の量は厳しく決められて制限されています。

というのも第一に、そんなに農薬って人の体に悪いものじゃないというのがあります。

例えば、りんごによく使われる「シフルベンズロン」という種類の農薬は、虫が脱皮できないような体にしてしまう薬です。人間は脱皮しないので関係ありませんわな。

また、蚊取り線香なんかは「気門」と呼ばれる虫が息をするための穴を煙で塞ぐことで蚊を殺すのですが、人間には無害ですよね。

このように虫と人間は体の構造が違うので、虫を寄せ付けないために使用される農薬は人間にとって無害であることのほうが圧倒的に多いのです。

第二に、残留農薬については一日摂取許容量(ADI)というものが定められており、体に入っても問題ない量が設定されています。

これは、人が毎日一生摂取し続けたとしても健康に一切影響がない摂取量のことで、
無毒性量(動物実験によって分かった動物に有害な影響が出ない最大の量)を求めたあとで、さらにその1/100が一日摂取許容量(ADI)になります。

つまり人体に無害であるとされている量が決められてるんだけど、さらにそれを大きく下回る量の農薬でないと野菜を流通させちゃダメってことになってるわけですな。

石橋を叩いて渡るどころか、鎧を着てパラシュートを装着しながら渡るぐらいの徹底ぷりです。

というわけで、農薬については絶対の安心は保証できないので洗ったほうが安心ではあるのですが、別に洗わなかったからと言って今のところ問題は起きないと考えたほうが良いでしょう。

まとめ

  • そこまで野菜に残っている農薬を気にすることはない
  • 面倒くさかったら洗わなくても良い
  • 不安だったらどうぞ洗ってください
どうぞよしなに。

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