タケノコのあく抜きをたったの1時間で簡単にやる方法


春の食材といえばタケノコ。水煮のタケノコじゃなくって、生のものから自分であく抜きして作るものはそれはもう格別なものになります。

だけどタケノコのあく抜きって何時間もかけてやらなくちゃいけなくて、ついつい面倒くささから敬遠しがちですよね。もっと簡単にあく抜きできないかなー、なんて思ったことのある人はいませんか?

一般的なあく抜きの方法を見てみても、

  • ぬかと唐辛子で2~3時間ほど煮る
  • そのままの状態で8時間以上置いて冷ます

みたいに相当面倒くさい感じになっております。

あとタケノコって皮がすごく厚いので、その分大きな鍋が必要になります。
だからそこまで大きな鍋を持っていない場合、一度に作れる量はほとんどなくなってしまい、何時間もやってやっとできたのに量が少なくてがっかりしたなんてこともあるわけです。

しかし、それがたったの1時間足らずで、しかも火を使わずにやるのでうま味の流出も少ない方法があるとしたら、是非とも知っておきたいですよね。

大根おろしでタケノコのえぐみを取る方法

この方法を最初に考案したのは、分とく山の野崎洋光料理長。自分も調味料の割合の考え方とかで大いに参考にさせてもらっている人物です。

具体的な方法は以下の感じ。
  1. 大根おろしを用意して同量の水で割る
  2. 全体の1%ぐらいの塩を入れる
  3. 皮をむいて食べやすい大きさにカットしたタケノコを1時間浸ける
以上であく抜きは完了です。あとはそのまま焼いたり煮たり天ぷらにしたりと自由です。
これで十分あくは取れます。
あらかじめ皮をむいて処理するので、おおきな容器が無くてもたくさん作れますね。

だたし大量に作る場合は、大根おろしで処理しただけだと時間がたつとまたえぐみが出てきてしまうので、大根おろしであくを取り除いた後2~3分下茹でしてあくがそれ以上でないように酵素の反応を止めておくことが必要。

あと一般的な方法と比べて火にかけない分、うま味や風味の流出も少ないのでタケノコ本来の味がより強く感じられおいしく食べられます。

タケノコのえぐみ成分を大根おろしが取る理由

タケノコの主なえぐみ成分は、シュウ酸ホモゲンチジン酸と呼ばれるものです。

大根おろしはこのホモゲンチジン酸のほうに作用し、中に含まれる水酸基と大根に含まれるペルオキシターゼと呼ばれる酵素と反応します。
結果、タケノコのえぐみ成分であるホモゲンチジン酸が無効化されて、えぐみもなくなるというわけです。

ちなみにペルオキシターゼは西洋わさびなんかにも含まれている酵素で、分析化学の世界ではこの反応を利用して細胞を染色したりとかもしています(1)。

塩を入れる理由

大根おろしに塩を入れる理由については、確かな文献はないのですが、そのほうがあくは抜けやすいそうです。

おそらく、塩が水に溶けることによってできたナトリウムイオンとホモゲンチジン酸の水酸基が反応して水酸化ナトリウムができ、よりホモゲンチジン酸が無効化される割合が多くなるのではないかと。

その辺は定かではありませんが、実際ホモゲンチジン酸は水に溶けやすい作用があり、日本でも明治末期まではぬかは入れず水だけで煮るあく抜き法が行われていたり、他のアジアの国々でも塩水でぬか抜きをする方法が多いので(2)、あながち間違いではないのかも。

ぬかは実際意味ないのか?問題

ほとんどのぬか抜きの方法を見てみても、ぬかやその成分が混じっている米のとぎ汁などを入れるものが多いのですが、中にはぬかを入れる理由はぬかの甘味でえぐみを誤魔化しているだけ、みたいな記述もあったりします。

実際どうなのかというと、水だけであく抜きした場合とぬかも入れてあく抜きしたものを比べた実験(3)では、えぐみ成分であるシュウ酸の量が、
  • 水だけ:タケノコに20.45mg、煮汁に1.62mg
  • ぬか入り:タケノコに10.11mg、煮汁に24.20mg
とぬかを入れただけでシュウ酸の量が約半分になっております。

大根おろしだけではシュウ酸も取り除けるということは言えないため、完全にえぐみを消去したいという方は、長時間煮込むデメリットはありますが、ぬかを入れて煮込むことに意味がないわけではないようです。

まあ個人的には、大根おろしだけでも十分あくは抜けると感じますし、長時間煮込んでうま味や風味を流出させるデメリットのほうが大きいと思いますが。

唐辛子には意味がないのか?問題

残念ながら唐辛子にあくを取り除く効果がある根拠は一切ありません。
ただし、入れる意味が全くないのかというとそれも違います。

唐辛子を入れるメリットは、唐辛子に含まれるカプサイシンによる防腐効果です。

タケノコは収穫されてから24時間加熱しないで放置しておくと、それだけでえぐみが2倍近くになりますから(3)、昔の人はタケノコが収穫されたらすぐに調理していたのでしょう。調理した食材は生の物よりも腐りやすいので、唐辛子によって腐敗を防ぐという昔の人の知恵なのでしょうな。

ただし、唐辛子を入れる量が少ないと逆に食材が腐りやすいというデータ(4)もあるんで、防腐効果を狙って唐辛子を入れる場合はあんまりケチらないで入れましょう。

具体的には、
  • 水1Lあたり5mgまでのカプサイシンだと逆効果
  • ちゃんと防腐効果を出したいなら水1Lあたり10mgは必要
とのこと。
鷹の爪1本あたり1mgのカプサイシンが含まれているので、最低でも1Lの水に10本の鷹の爪は入れないと逆効果になるのでご注意を。

まとめ

大根おろしで簡単にタケノコのあく抜きをしたいのなら、
  1. 大根おろしを用意して同量の水で割る
  2. 全体の1%ぐらいの塩を入れる
  3. 皮をむいて食べやすい大きさにカットしたタケノコを1時間浸ける
という作業だけで大丈夫。
うま味や風味がぬかと一緒に加熱する方法に比べて残るのでおすすめ。

大量に作る場合は大根おろしであく抜きしたあとに、2~3分下茹でして保存してください。あくがさらに出るのを防ぎます。
唐辛子をいれると防腐効果もあるので、そのときに唐辛子も一緒に入れて保存しておくと腐りにくいかも。

どうぞよしなに。

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