あなただけのメニューを食卓に。科学的に正しい創作料理の作り方
料理に自己流アレンジをしてしまうというのがあります。
レシピ通り作ればおいしくできるのに、
あれも入れよう、これも入れよう、これで代用してみよう、などなど、
ついオリジナリティを出してしまい、結果失敗するという…。
分かっちゃいるんですよね。勝手に変なもの入れても、おいしくならないことぐらい。
料理のアドバイスとして、いろんな人が散々言ってることです。
でも、今回はうまくいくだろうと、根拠のない自信で、
また勝手なアレンジをしてしまうのが、まあ人間というものなのでしょうな。
そんなことを繰り返しているうちに、料理の腕も上がって、
おいしい料理が作れるようになってくるというのもありますが、
今回は、元あるレシピよりもおいしいかどうかは別として、
レシピ通りに作らなくても、大失敗はせずにおいしく食べられる、科学的に正しい料理にオリジナリティを出す方法についてお教えいたします。
料理を「式」で考え、変形させる
フランスの物理学者であるエルヴェ・ティスという人物は、分子ガストロノミーの父として、科学的においしい調理の過程を研究した第一人者として知られています。
彼の考案した「料理の式」というものがあります。
25,000件以上の料理のコツや手順を集計し、さらにフランスの伝統的なソース350種類を顕微鏡で観察、
その結果、あらゆる料理は2つの要素によって成り立っており、
その組み合わせによって物理化学の式で表せることが分かりました。
そして、出来上がった式を改変することによって、新たな料理が出来上がるというわけです。
「料理の式」の2つの要素
料理の式に必要な2つの要素とは、要素その1(食材の状態)
G(ガス):気体
W(ウォーター):液体
O(オイル):油脂
S(ソリッド):固体
要素その2(分子活動の状態)
/:分散(具が隠れるまでスープを注ぐ、染み込ませる、煮込む、揉み込むなど。分散質/分散謀。)
+:併存(混ぜる、たたく、ともに盛るなど。)
⊃:包合(からめる、包む、覆うなど。中身⊃外身。)
σ:重層(重ねる、散らす、はさむ、かけるなど。下σ上。)
です。
例えば、
マヨネーズを式で表すと、
液体(W)の中に油脂(O)が分散している状態なので、
豆腐とわかめの味噌汁であれば、
味噌をといた水(W)の中に豆腐(S1)とわかめ(S2)が単にプラスされたものですので、
また、餃子であれば、
餡(S1)を小麦粉の皮(S2)で包んでいるので
ご飯(S1)の上に卵(S2)が絡まったカツ(S3)が乗っており、カツは煮汁(W)が染み込んでいるので、
となります。例えば、
マヨネーズを式で表すと、
液体(W)の中に油脂(O)が分散している状態なので、
O/W
(油脂 分散 液体)
と表現でき、(油脂 分散 液体)
豆腐とわかめの味噌汁であれば、
味噌をといた水(W)の中に豆腐(S1)とわかめ(S2)が単にプラスされたものですので、
(S1+S2)/W
{(個体1 併存 個体2) 分散 液体}
と表現することができます。{(個体1 併存 個体2) 分散 液体}
また、餃子であれば、
餡(S1)を小麦粉の皮(S2)で包んでいるので
S1⊃S2
(個体1 包合 個体2)、
カツ丼であれば、(個体1 包合 個体2)、
ご飯(S1)の上に卵(S2)が絡まったカツ(S3)が乗っており、カツは煮汁(W)が染み込んでいるので、
S1σ{(S3/W)⊃S2}
[個体1 重層 {(個体3 分散 液体) 包合 個体2}]
[個体1 重層 {(個体3 分散 液体) 包合 個体2}]
どのレベルまで式に落とし込むかは自由ですので、
単に、卵が絡まった煮汁が染み込んだカツをS2として、
S1σS2
(個体1 重曹 個体2)
と表すことも可能です。(個体1 重曹 個体2)
式を改変して、自己流アレンジする
ある料理を式に表したら、今度はその式を少しいじって、
自分だけのオリジナル料理に変身させちゃいましょう。
例えば、生クリームは、
水(W)の中に油脂(O)が散らばっている状態ですので、
O/W
と表せますが、これを泡立ててホイップにすると、
さらに空気(G)を含ませることになるので、
(O+G)/W
と表せます。
そしたら次に、式の中の食材を別のもので置き換えてみましょう。
例えば、前の式の油脂の部分を、同じく油脂の含むチーズに置き換え、
水とチーズをミキサーなどで空気を含ませてやると、ホイップチーズの出来上がりです。
また、液体の部分をトマトジュースなどに変え、オイルを加えて泡立てるとトマトホイップの出来上がりです。
おいしいかどうかはやってみなくちゃわからないところではありますが、
理論上そういうものができるはずですよね。
また、出来上がった式の形を変えるという方法もあります。
例えば、ラーメンを式で表すと、
スープ(W)の中に麺(S1)が入っていて、その上にチャーシュー(S2)やネギ(S3)などが乗っているものですので、
(S1/W)σ(S2+S3)
と表せますが、食材だけを同じにして、式を変化させてみると、
{(S2+S3)/W}⊃S1
のようにも変形でき、
これはスープ(W)の中に、細かく切ったチャーシュー(S1)とネギ(S2)を混ぜてゼラチンなどで固め、小麦粉でできた生地(S1)で包んだ、
ラーメン小籠包になります。
まとめ
以上、料理を式で考えて、それを自分なりにアレンジしてみると自己流アレンジも失敗しにくいんじゃないかというお話でしたが、ご参考までに。
どうぞよしなに。
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